:     1


コルネ :     ここは<[AC0D0D]嘆きのダンジョン[FFFFFF]>だ。


ルグノス :     知っとるわ。リベンジしにきたんや。


リリア :     この前は魔物が強くて、歯が立たなかったけど……


ニードレイ :     パワーアップした私たちなら、よゆーよゆー。


コルネ :     進もう! お宝を目指して!


リリア :     さっそく魔物のお出ましだね!でも大丈夫!


リリア :     あたしには<[AC0D0D]乱撃の弓[FFFFFF]>のニドさんが……


ニードレイ :     はふー。


ルグノス :     姉ちゃんのやる気ゼロやん!


コルネ :     さては、なにかを悟っておるな。


ニードレイ :     この先、どんな強敵が待ってるかもわからない。


ニードレイ :     ここで全力をだすと、あとから困るんじゃないかなー。


リリア :     たしかに!


コルネ :     ブレイダスと、いつ遭遇してもおかしくはないしね。


リリア :     あいつをぶっ飛ばすために、体力を温存して戦おう。


ニードレイ :     手を抜いても、じゅうぶん強いから、へーきへーき。


ルグノス :     おっしゃ! いくで!


コルネ :     シナシナブレイク〜〜〜。


ルグノス :     手加減しすぎやー!


リリア :     コルネちゃんが危ない!ニドさん! 矢を!


ニードレイ :     ほわーん。


リリア :     ひきしぼおぉぉぉ……リリース!


コルネ :     私たちも真面目にいくぞ!


ルグノス :     最初からそうして!


リリア :     なんとかなりそうだね!


コルネ :     おや? 魔物がなにか落としたぞ。


ルグノス :     ルーンみたいやな。


リリア :     <[AC0D0D]攻略本[FFFFFF]>によると、それは<[AC0D0D]引き寄せのルーン[FFFFFF]>だね。


リリア :     ぶつけた相手を近くに引き寄せるみたいだよ。


ニードレイ :     おもしろそー。実験してみるー?


ルグノス :     魔物を引き寄せてもなあ。


コルネ :     いずれ役に立つやもしれぬ。もらっておこう。


ルグノス :     荷物増えるだけやで。


コルネ :     荷物の大半を占める、あんたがそれを言うか。


リリア :     また魔物だ!


コルネ :     ぐぬぬぬぬ……


ルグノス :     ルーンを投げようとすな。


ニードレイ :     魔物を蹴散らすよー。


 :     2


コルネ :     よし、寝よう。


リリア :     寝よー!


ルグノス :     唐突!?


コルネ :     さっきの戦いで疲れたから休む。


リリア :     体力を温存しなきゃね。


ルグノス :     家やないんやから。こんなところで寝たら、魔物に襲われるやろ。


コルネ :     ならば、どうしろと?


ニードレイ :     薬草でも食べてみるー?


リリア :     名案だね!


コルネ :     ちょうどよいところに、薬草が落ちているしな。


ルグノス :     生えとるんやなくて?


コルネ :     むしゃむしゃむしゃ。


ルグノス :     ほんで食べるんかい。


コルネ :     マズイ……


ルグノス :     せやろな。


ニードレイ :     ワイルドだねー。


リリア :     ダンジョンじゃこれが、ふつうだよ。


ルグノス :     絶対ちゃうやろ。


??? :     おやおや、うちの商品を勝手に食べるとは。


ニードレイ :     だれー?


店主 :     道具屋の店主さ。


ルグノス :     道具?そんなもんどこにあんねん?


店主 :     よく見ろ、そのへんに散乱してるだろ。


コルネ :     ダンジョンに落ちているものを、道具と言い張っているだけであろう。


店主 :     どうかな。


リリア :     ああっ!?薬草の近くに値段が書かれた紙が!


ニードレイ :     『100億ゴールド』だってー。


ルグノス :     ぼったくりやん。


店主 :     土地によって相場は変わる。このあたりじゃ、薬草は貴重なもんなんだよお!


コルネ :     くっ……ぜんぶ嘘だったとしても、証明ができぬ……


店主 :     ものわかりのいい嬢ちゃんだ。


店主 :     薬草を食べたんだ。お金を払わなくちゃね。


ルグノス :     100億なんて無理に決まって……


コルネ :     ルグノスを売ります。


ルグノス :     やと思ったわ!


店主 :     ほほう、これは立派な剣だねえ。


コルネ :     スピリヴァチュラといえば、聞いたことがあるだろう。


コルネ :     これはその一族の末っ子で、100億ゴールドの価値がある。


ニードレイ :     へー、ルグノスも立派になったんだねー。


店主 :     これは20ゴールドだな。


リリア :     バレた!?


ルグノス :     真実みたいに言うなや!


ニードレイ :     ルグノスはまだ、そのていどの男かー。


ルグノス :     悟らんといて! 嘘やから!


店主 :     こっちの剣はともかく、そっちの弓が気になるな。


ニードレイ :     ほわー?


リリア :     ニドさんは売り物じゃないよ!


店主 :     やはりそうだ。<[AC0D0D]乱撃の弓[FFFFFF]>ニードレイだな。


店主 :     そいつがあれば大金持ちだ!この詐欺まがいの行為もおさらばってな!


コルネ :     詐欺と認めたな!ルグノスを返せ!


店主 :     はじめからいらねえよ!こんなガラクタ!


ルグノス :     ひっどー!


リリア :     ニドさんは渡さないぞ!


店主 :     なら、力ずくで奪うまでだ。


コルネ :     こんなところで体力を使うわけにはいかぬ。


ニードレイ :     逃げたほうがよさそー。


ルグノス :     走るで!


 :     3


店主 :     待たんかー!


リリア :     追いかけてきたよ!?


コルネ :     しかもなんて速さだ!


ルグノス :     魔物までついてきとるし!


店主 :     そいつは俺の友達のミーノだ!


ニードレイ :     いろいろ悟っちゃうよねー。


店主 :     ああそうだよ!俺に心を開くやつなんか、魔物くらいだよ!


店主 :     さあいけ、ミーノ!あいつらを捕まえろー!


コルネ :     ミノごとき、恐るるに足らぬ!


コルネ :     ルグノスラーッシュ!


ルグノス :     クリーンヒットや!


リリア :     コルネちゃんに続こう!


ニードレイ :     一気に仕留める。


リリア :     ニドさんが本気モードに……


ニードレイ :     リリア! 構えろ!


リリア :     ターゲット、ロック・オン!


ニードレイ :     放てーーーーッッ!!!!!


ニードレイ :     刺されされされ、ミンチになりんしゃーーーい!!!


ニードレイ :     はふー。ちょっと休憩ー。


リリア :     え……?あれだけの数の矢を受けて……


ニードレイ :     倒れなーい。


店主 :     ははは!ミーノには毎日薬草を与えているからな。


ルグノス :     どういうことやねん!


コルネ :     さては、裏技の類か。


リリア :     こ、これだ!


リリア :     『体力が満タンのときに薬草を食べると、いつもより体力がつく』って<[AC0D0D]攻略本[FFFFFF]>に書いてあるよ!


ルグノス :     んなアホな……


ニードレイ :     でもあの牛、かなりのタフガイだよー。


ニードレイ :     無理に戦おうとすればー、こっちの体力がつきちゃうかもねー。


店主 :     そういうことだ! やれ、ミーノ!


店主 :     おい、なにすんだよ!真っ二つになるとこだったぞ!


店主 :     ああん! 痛いのは嫌だって?薬草の恩を忘れたのか!


リリア :     仲間割れ?


ニードレイ :     餌付けを友情と、勘違いしてたんだろうねー。


コルネ :     今のうちに逃げよう。


ルグノス :     付き合うだけ損やしな。


店主 :     させるか! ミーノ!傷を治したかったら、奴らを追え!


店主 :     あの弓を手にいれたら、バケツいっぱいの薬草を恵んでやる!


ニードレイ :     いそげー。


 :     4


店主 :     クソー!あいつら、どこにいきやがった……


ルグノス :     よし、今や。


リリア :     うまくまけたね。


コルネ :     ニドさんの<[AC0D0D]千里眼[FFFFFF]>のおかげだ。


ニードレイ :     つかれたー。


ルグノス :     階段は目の前や。さっさと――


ルグノス :     ミノやん!?


ニードレイ :     ずっと動かないと思ったら、そういうことだったかー。


コルネ :     あれでは先へ進めぬ。


リリア :     でも、モタモタしてたら店主さんに見つかっちゃうよ。


コルネ :     <[AC0D0D]引き寄せのルーン[FFFFFF]>を使うときがきたか。


ルグノス :     階段はあくかもしれへんけど、ミノを引き寄せてもうたら意味ないやろ。


ニードレイ :     私の<[AC0D0D]かなしばり[FFFFFF]>も、役に立たなそー。


リリア :     かなしばり?


ニードレイ :     相手のツボに矢を刺すことで、一時的に動きを止める技だよー。


コルネ :     ニドさんは芸達者だな。それに比べてルグノスは……


ルグノス :     姉ちゃんがすごすぎるだけや。


ニードレイ :     ルーンと技を組み合わせて、なんとかできないかなー。


リリア :     こんなときこそ<[AC0D0D]攻略本[FFFFFF]>!対処法が載ってるかも!


ルグノス :     望みは薄そうやけどな。


リリア :     あった!


ルグノス :     その本、万能すぎやろ!


コルネ :     では、作戦会議といこう。


リリア :     やーい、こっちだよー。


ニードレイ :     きたきたー。リリア、弓をかまえて。


ニードレイ :     細かな照準は私が調整する。だから、思いっきりいこー。


リリア :     うん!


ルグノス :     ミノがリリアのほうに移動したで。


コルネ :     私たちは階段に向かうぞ。


リリア :     どんどん近づいてくるよ!


ニードレイ :     もうちょっと……相手のツボを狙うには……


リリア :     ニドさーん!


ニードレイ :     射程距離に入った。


リリア :     今だ! リリーーース!


 :     リリアの放った矢が、ミノタウロスのツボに突き刺さる!


リリア :     動きが止まった……


ニードレイ :     <[AC0D0D]かなしばり[FFFFFF]>は成功したみたいだねー。


リリア :     コルネちゃんたちは?


コルネ :     作戦通り、階段の前にいるよ!


ルグノス :     早くも<[AC0D0D]かなしばり[FFFFFF]>が解けそうや!急げ!


コルネ :     この<[AC0D0D]引き寄せのルーン[FFFFFF]>をリリアにぶつける!


コルネ :     そりゃー!


コルネ :     ぐふっ。


リリア :     大丈夫コルネちゃん?


ルグノス :     リリアが一瞬でこっちに……


ニードレイ :     効果てきめんだねー。


コルネ :     く、くるしい……


ルグノス :     二人とも抱き合っとらんで、はよいくで。


リリア :     はーい。


店主 :     待てー! てめえらー!


店主 :     ミーノ!ボサッとしやがって!使えねーヤツだな!


店主 :     す、すまねえ、言いすぎた……許してくれ……


店主 :     ダメ?


店主 :     最悪だああああああ!!!!


コルネ :     誰かの嘆きが聞こえる……


リリア :     <[AC0D0D]嘆きのダンジョン[FFFFFF]>の由来って……


ルグノス :     いやいや、まさか……


 :     5


コルネ :     ここがダンジョンの最深部のようだな。


ルグノス :     おそらくやけど、いつものパターンなら……


ブレイダス :     フン、誰かと思えば。のこのこ倒されにきたのか。


リリア :     でたな、ブレイダス!


ニードレイ :     私をポイ捨てした人の仲間だねー。


ブレイダス :     やはりそれが<[AC0D0D]乱撃の弓[FFFFFF]>であったか。


ブレイダス :     わざわざ届けにきてくれるとは、ありがたい。


リリア :     ニドさんは渡さない!そして、アームガルドはぶっとばす!


ブレイダス :     その気迫……どうやら<[AC0D0D]レベチの塔[FFFFFF]>を登ったようだな。


コルネ :     それだけではない。店主から逃げるうちに、私たちはさらなる進化を遂げたのだ。


ブレイダス :     わけのわからぬことを。だが……


ブレイダス :     貴様らがどんなに足掻こうと、俺には勝てんぞ。


ルグノス :     はん!その鼻っ柱、へし折ったるわ。


コルネ :     ついでに背中に差した無数の剣もね。


ブレイダス :     俺の美学を愚弄するか……


リリア :     くるよ!


ブレイダス :     我がオロチヤグラのサビとなれ!


コルネ :     シナジーブレイク!


ルグノス :     コルネ! かましたれー!


ニードレイ :     本気でいくぞ! リリア!


リリア :     引き絞ってー! リリース!


ブレイダス :     剣と矢の同時攻撃か。俺には……


ブレイダス :     効かん!


コルネ :     ぬわっ!?


ルグノス :     弾き飛ばされた!


リリア :     なにが起こったの?


ニードレイ :     一度に何度も斬り払ったんだ。それほど奴の剣は速い。


ブレイダス :     どうした? そんなものか?


コルネ :     デカノスは威力はあるが、そのぶん重い。


ルグノス :     あいつに一撃かますには、隙をつくらんと……


ニードレイ :     それなら考えがある。リリアには酷かもしれないけど。


リリア :     なんだってやるよ!


ニードレイ :     そう言うと思った。


ブレイダス :     なにをする気かは知らんが、無駄だ。


リリア :     ぐぎぎぎぎ……


ニードレイ :     いい引きだ。放てーーー!!!!


リリア :     お空に飛んでけえええ!!!!


ブレイダス :     どこを狙っている。


ニードレイ :     降り注げ!


ブレイダス :     なに!? 矢が増えて……


コルネ :     矢の雨だ。


ルグノス :     あれはかわせへんで!


ブレイダス :     ならば、すべて叩き落とすまで!


ニードレイ :     そうくると思ったよ。だから……


リリア :     連発だー!


コルネ :     これは土砂降りだな。


ブレイダス :     持久戦か! いいだろう!


リリア :     ぐぎぎ! 腕が……


ニードレイ :     根性みせんか!手ば止めんで、矢を放ちんしゃい!


ブレイダス :     ふははは! いつまでもつかな!


コルネ :     いくぞ、ルグノス!


ルグノス :     これで決めるで!


ブレイダス :     矢に紛れて剣での攻撃か!だが、まとめて叩き落とすまで!


コルネ :     ルグノスうちわ!


ブレイダス :     なっ!? 矢の軌道が!


リリア :     そこだあ!


ブレイダス :     しまっ――


 :     ブレイダスの肩に、矢が命中する。


ブレイダス :     ……フン。この程度、ダメージのうちに入らん。


ブレイダス :     体力を消耗して、威力が落ちたか。その証拠に矢の雨が止んでいる! 


ブレイダス :     貴様らに打つ手なし!


ニードレイ :     ああ、そうさ。もう力を使い果たした。


ニードレイ :     けど、その一発が重要なのさ。


ブレイダス :     なんだ? 体が動かない……


リリア :     <[AC0D0D]かなしばり[FFFFFF]>だよ!


コルネ :     私たちが力を合わせれば――


ルグノス :     最強なんやーーーッ!!!!


 :     6


ブレイダス :     ぐはっ!


コルネ :     我々の勝利だ。


ブレイダス :     一度ならず二度までも、この俺が負けるとはな……


リリア :     パパとママには手を出すな!


ブレイダス :     俺が手を引いたところで、なにも変わらないさ。


ブレイダス :     アームガルドは、どんな手を使ってもスピリヴァチュラを手に入れる。


ブレイダス :     <[AC0D0D]乱撃の弓[FFFFFF]>を持つかぎり、いつ狙われてもおかしくはない。


ブレイダス :     せいぜい気をつけるんだな。


ルグノス :     瀕死やのに、めっちゃ話すやん。


ニードレイ :     ルグノスは対象外なんだねー。


ルグノス :     言わんといて。


コルネ :     そんなことより、宝はどこだ。


ブレイダス :     すでに仲間が回収した。ここにはない。


コルネ :     ガーン……!


ブレイダス :     仲間は宝をもって、<[AC0D0D]荒ぶるダンジョン[FFFFFF]>に向かった。


ブレイダス :     新たなスピリヴァチュラの情報を得たのでな。


ルグノス :     なんやて!?


ブレイダス :     宝が欲しければ、追いかけることだな。


ルグノス :     あきらかに罠やん。そもそも宝もってダンジョンにいくのおかしいし。


リリア :     仲間たちのもとに向かわせて、ニドさんを奪おうとしてるんだね。


ニードレイ :     でもでもー、家族の身に危険が迫ってるなら、いくしかないかなー。


コルネ :     うむ。


ルグノス :     おたくは宝が欲しいだけやろ。


ブレイダス :     地図だ。もっていけ。


コルネ :     あんたはどうする気?


ブレイダス :     修行して出直す。そして今度こそ、貴様らに勝つ。


ルグノス :     何度でも相手になったるで。


ニードレイ :     返り討ちにするけどねー。


ブレイダス :     フン……


リリア :     次の目的地が決まったね!


コルネ :     いざ、<[AC0D0D]荒ぶるダンジョン[FFFFFF]>へ!


ルグノス :     …………


ルグノス :     ……


コルネ :     1000億ゴールドになります。


ルグノス :     すぐ俺ッチを売ろうとするー。


少女 :     高いよー。


コルネの親父 :     じゃあ在庫処分で、1ゴールドだ。


少女 :     買うから、20ゴールドで引きとって。


コルネの親父 :     まいどありー。


ルグノス :     狂気の沙汰すぎるやろ!


ニードレイ :     ルグノス、売られちゃうの?しくしくー。


リリア :     買い取りだから、戻ってくるよ。


コルネ :     19ゴールド損した。


コルネの親父 :     いやー、すまねえ。ついノリで。


ルグノス :     なにがしたいねん、この親子。


キャトラ :     様子を見に来てみれば……


キャトラ :     あいかわらず、グダグダしてるわねぇ。


ニードレイ :     今後の展開を悟っちゃったかもー。


リリア :     まあ、なるようになるよ。


ルグノス :     はよ<[AC0D0D]荒ぶるダンジョン[FFFFFF]>にいこうや!


コルネ :     いかぬ!


ルグノス :     けっきょく、それかーい!